後編『聖戦〜ジ・ハード〜』

点滴と共に飛んでけ!

昨日からの続きなので、ゼヒ前編『ヤンキーは夏でも美白』からお楽しみ頂き、その後にこちらの後編をお楽しみください。

1階でエレベーターから降りた私・私の母・子供連れの母親2組(母親同士が姉妹)。
子連れの母姉妹は父親が退院で、その父親と、姉妹どちらかのダンナと思しき若い男の2人もエレベーター内には居合わせていたのだが、その2人は先に病院の出口の方へ歩いていき、我々4人がエレベーターホールに残った時にはもう姿が見えなかった。
その父親たちに続いて姉妹もベビーカーを押しながら出口に向かおうとしたので、私は哺乳瓶を私の足の上に落とした子供を連れた女性の肩を軽くポンポンとたたいて呼び止め、
エレベーターで子供が哺乳瓶を私の足の上に落とした事。その後それを拾いつつ私の顔をチラ見し、私の足に落ちていた事を気付いていたなのになぜ何もあの時に声を掛けてくれなかったのかという事。哺乳瓶が重くて痛かった事。それらを
『あくまで敬語で、目を見て、冷静に』伝えた。
相手の女性は「あぁあ?!」(訳「えっ?」「はっ?」の意かと思われる)と、斜め45度の角度(彼女らの世界ではその角度が人と話すときの角度らしい。因みに戦闘モードに入ってようやく正面から顔を拝める)で一旦「あぁ・・」と一息ついて「・・すぃぃやせんっしたぁ」と目をそらしながら言葉を吐いた(顔の角度は上記参照)。
それがエレベーター内での出来事に対する態度か。子供が哺乳瓶を落とした事自体に腹を立てているのではなく、状況を把握しているはずの母親が、自身の子供の行動に対して責任が持てずに明らかに人に迷惑を掛けたことを自分から謝罪しようとしなかった、その腐った根性が気に入らなかったんだよ、私は。
「どぉしたん?」と姉妹のもう一人が近づいてきたので事の経緯を説明したら、内容を最後まで聞かずして彼女は私の真正面から(顔の角度が真正面=上記参照)歩み寄り「っつぅかぁ1回謝ってんだかぁそれでいいじゃねぇかぁよぁぅ!!!!!」
と迫る。私は1歩も退かずに(退く理由がないし)話を最後まで続ける。私の言葉を遮って「おめぇぇ殴っておしえてやろうかぁあぁ?!殴るっつーのはなぁ、こういうことぉ殴るっつぅんだぁよぉお!!!!」と、次の瞬間に私に飛び掛ってきた。
うちの母親はエアロビ暦10年以上。こんな時にサイドステップやらグレープバインが役に立つ。
なかなか機敏に私の前に入り込み、
「ちょっとあなたやめなさいよ!この子点滴してんのよ!!」
ここでならいつもならうちの母親が殴りかかるところ。しかし最近の教育がようやく浸透したのか(笑)、メズラシク!殴りかかってきた女性の前に立ちはだかって、スキージャンプのテイクオフ並みに前のめりにアプローチしてきた所を必死に押し返してくれていた。
私が話をしていた当の女性も、そこで「もぉいいよ・・・もぉいいってぇ」と横から軽く止めるが、飛び出した日の丸飛行隊の勢いはもう止まらない。そうなるとうちの母親のステップも止まらない。ワンツーワンツー。
押し合いが始まった。その間しきりに「なぐるっつううのはよぉ!!」を連発する女性。押し返すうちの母親。さすがに形勢逆転されそうになったのを当の女性も業界的に見逃す訳もなく、自分の血を分けた姉妹を守るために結局2対1の乱闘が始まった。
もちろん誰も自分の手は汚したがらないさ。それにしてもここまでの盛り上がり方にしてはエレベーターホールにギャラリーが少ないのも妙で、そんな中ようやく警備員さん数名が到着と共にもみくちゃの3人をなんとか引き離し、ベビーカーの子供の泣き叫ぶ声、殴り方を必死に教えようとする女性の声が響いてるところに本日退院の男性が戻ってきて一喝。「おいお前たち、何やってるんだ!帰るぞ!」
その後は私と母で警備員さんや病院関係者の方と共に院内の別の部屋へ、相手方は帰ろうとしたところを警備員にさすがに声をかけられ事情を聞かれていたらしく、お互いに別々だったので(当然か。)その後の展開は全て人づてに聞いた話。
この後の話は、また明日。
今日も長くなっちゃったなぁ、すんません。
まだ続きます。明日の『終章〜エピローグ〜』をお楽しみに。